厚生労働省が示す、健康づくりのための食生活指針、幼児期では「食習慣の基礎づくり」です。

食習慣の基礎づくり

1990年、当時の厚生省が『健康づくりのための食生活指針』を発表しました。
その中で、幼児期の食事を「食習慣の基礎づくり」と位置づけ、以下の8項目をあげており、今もなお引き継がれています。

  1. 食事のリズムの大切さ、規則的に
  2. なんでも食べられる元気な子
  3. うす味と和風料理に慣れさせよう
  4. 与えよう、牛乳・乳製品を十分に
  5. 一家そろって食べる食事の楽しさを
  6. 心がけよう、手づくりおやつの素晴らしさ
  7. 保育所や幼稚園での食事にも関心を
  8. 外遊び、親子そろって習慣に

※厚生省、健康づくりのための食生活指針、1990年より引用

適切な食習慣の基本

適切な食習慣の基本は、

  1. 適切な味覚の形成
  2. 偏食をしない
  3. 規則正しい食生活を確立すること

の3つがあげられます。

幼児期は食生活の基礎ができる時期で、この時期に身につけた食習慣は将来に大きく影響するのです。

生活習慣病の予防は幼児期から始まるとも考えられています。
家庭での食事のあり方は、1人で食べる孤食、個別メニューの個食ではなく、家族そろって楽しく食卓を囲み、食事をすることでもあります。
家族が好き嫌いを主張しない食卓では、子どもも好き嫌いの主張が少なくなります。
子どもはパパやママをしっかりと観察しているものなのです。

また一緒に食事をすることで、家族の手本を実際に見て、食事マナーを身につけることも大切です。

保育所給食では、栄養補給だけではなく、正しい食習慣を学習し、衛生や栄養と肉体的健康の関わりも学び、友だちと一緒に食べることで社会性や規則正しい食習慣を身につけることにつながるでしょう。

食事をすすんで食べない理由は?

幼児期に見られる「食事をすすんでとろうとしない」ことは身体の成長や発達に支障をきたすだけでなく、精神面への影響が大きいと考えられます。

単純に食欲がないと、カラダの調子が悪いのではないか、と大人は考えがちですが、食事をする際に使用するスプーンやフォーク、お皿、コップなどがストレスとなり食事が進まないこともあります。
スプーンやフォークが大きすぎると、せっかく食べ物を口に運ぶことを学習しても、小さな口のサイズにあわず、取りこぼす原因ともなります。

その上、しつけのためにママが叱ったとすると、お子さんに「食事をすると叱られる」という別の学習能力が培われて食事が楽しめなくなる場合もあるのです。

お皿やコップなどに関しても同様です。

育児本などには一般的時期が想定されて、食器類の使用時期が書かれています。
しかし個人差があるため、ママの心配な気持ちも高まるかもしれません。

この時期の食習慣の確立は、大人が「子どもの成長を見守ること」と「大丈夫だろうと放置すること」は別だということを認識する必要があります。

「食事をすすんでとろうとしない」ことはお子さんだけの問題だと考えがちですが、親の態度が影響していることも多々あります。
幼児期はまだ身体的にも生理的にも、そして精神性や社会性も未熟であるため、食べこぼしや食べ残し、そして食器の扱い方なども未熟であることを考慮しなければいけません。

また食事の時間に、習い事や勉強の話をして緊張させてしまうと食欲を減退させてしまうこともあります。

幼児期の食習慣の確立は、将来の生活習慣に大きく関わるため、楽しい雰囲気づくりも大切です。