幼児期とは1歳から小学校入学前の5歳までの期間をさします。
学童期は6~11歳までの小学生の期間。
そして思春期は個人差が大きく、日本産科婦人科学会では8,9歳~17,18歳頃までとしています。
この幼児期から思春期における期間を成長期といい、小児から成人へと向かう移行期で、発育・発達が著しい時期です。

成長期の身体的発育速度

成長期の身体的発育速度を表すものに、スキャモンの発育パターンというものがあります。
1種の統計データに基づくものですが、リンパ型器官は幼児期と学童期に、神経型器官は幼児期に、一般型の器官は幼児期と思春期に、そして生殖型器官は思春期に、それぞれ発育が著しくなるというパターンが見られます。(下図参照)

スキャモンの発育パターン

『スキャモンの発育パターン』
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カラダの発育・発達の過程

幼児期

新生児は平均して身長約50cm、体重約3kgですが、1年後に身長は約1.5倍、体重は3倍近くになります。
5歳頃には男女の違いもありますが、平均して身長約110cm、体重約18kgになります。
頭囲の増加は1~2歳では約2cm、2~3歳では約1cm増え、3歳では約49cm、6歳では約51cmのが平均的です。
カラダの組成は骨格や筋肉の成長に伴い、皮下脂肪が減少して、筋肉質の体型になっていきます。
幼児期後半は下肢の伸びが大きく、4等身であった新生児が6等身に近づいていきます。

学童期

6~9歳頃は、男女共に1年間で身長が5.5~6.0cm、体重3kg前後と緩やかに成長していきます。
女子は9歳頃から発育急進期に入り、9~11歳頃になると身長が約6.5~7.0cm、体重が約5kgずつ増加し、身長、体重共に男子より上回る交叉現象が見られます。

このような成長に伴い、骨は副甲状腺ホルモンやカルシトニンの影響で骨端部、骨端軟骨板の骨形成が著しく、骨の長さや太さの成長も見られます。

肺は肺胞内総面積が増加するため換気量が増え、呼吸数が減少していきます。
心臓は重量が増えるので、1回の心拍出量の増加や心拍数の減少など、心機能が向上していきます。

思春期

思春期に入ると急激な発育加速現象が見られ、男女差が大きくなります。
男子は女子より2歳ほど遅れて11~13歳に成長のピークを迎え、1年間で身長約7.0~7.5cm、体重約5.5kgの増加が見られます。

発育状態においても男女差が大きく、12~17歳の5年間に男子の急激な発育が見られるでしょう。

2008年の年齢別新体力テストによると、15歳を境に女子から男子に反転し、体力も男子の方が優れていきます。
そして運動能力も男女の差が見られるようになってきます。

 

学童期から思春期において、朝ごはんを食べない「朝食欠食者」が増加傾向です。
朝食の摂取状況と体力測定との関係を調査した結果、男女とも「朝食を毎日食べない」群に体力の低下が見られました。

体内の発育・発達の過程

口腔機能の発達

1歳頃から第一臼歯が生えはじめ、すり潰しができるようになります。
2歳半頃に第二小臼歯が生え、乳歯(20本)が生え揃い、咀しゃくが可能となります。
この時期によく噛む習慣をつけることが大切ですが、咀しゃくが十分にできるまでは固い食べ物の調理に配慮する必要があります。

よく噛むことは、

  • 唾液など消化酵素の分泌を促す
  • 消化機能を高め、食べ過ぎを防ぐ
  • 唾液の分泌で虫歯を防ぐ
  • 脳への血流を増やして脳の発達につながる
  • 顔の筋肉を使うため表情を豊かにする

など身体機能の発達にもつながります。

6歳頃に最初の永久歯(第一大臼歯、6歳臼歯)が初めて出てきます。
それを機に乳歯は永久歯へと順に生え変わっていきます。
12~14歳頃に28本が生え揃うでしょう。
永久歯の虫歯発生頻度は6~8歳に多く、この時期の虫歯予防は特に重要です。

消化機能の発達

離乳食で糖質を摂取すると、唾液腺の大きさと機能が急速に発達して、唾液や胃液の分泌量も増加します。
胃の容量も1歳頃で約370~460mL、幼児期で約400~800mLと、年齢と共に大きくなり、成人の約3Lに近づいていきます。
腸の長さは5~6mと身長の約6倍(成人の2/3)になり、成人と同様、ぜん動、分節、振り子運動をしています。

乳児期よりも消化酵素の働きが強まり、消化機能が増強される時期です。
幼児期ではアミラーゼ活性がまだ低いですが、2~3歳で成人レベルになります。
長鎖脂肪は膵リパーゼによって分解されますが、乳児期ではまだ活性は低く、成人レベルになるのは2~3歳です。
しかし乳汁中に中短鎖脂肪が多く、胃リパーゼの消化を受けやすいのです。
脂肪の吸収は出生後早期で80%、4~5ヶ月で90%、1歳で95%と成人レベルになります。

胃でのたんぱく質分解酵素はペプシンですが、乳児期では活性が低く、2歳で成人レベルになります。
胃酸分泌は4歳頃に成人レベルになるでしょう。

代謝

乳児期の呼吸は腹式呼吸が中心ですが、3歳頃から胸式呼吸になります。
呼吸数は幼児期で20~30回/分で成人(16~18回/分)より多く、体温も成人よりも高いのが特徴です。

体温調節機能は汗腺の発達が十分ではないので、10歳頃に成人レベルになります。
基礎代謝基準値(kcal/kg/日)は、男女共1~2歳が最も高く、年齢が上がるにつれて低くなっていきます。

脳、免疫機能の発達

前述の「スキャモンの発育パターン」の項と重複しますが、神経型器官である脳、骨髄、視覚器、末梢神経などの発育は10~12歳頃に完成します。

リンパ型器官である胸腺やリンパ節などは幼児期、学童期にかけて発育し、小学校高学年にピークを迎えるでしょう。

胸腺は思春期に最も大きくなりT細胞の分化・成熟に重要ですが、その後、多くが脂肪組織に変化してしまいます。

感染症の抵抗力に関与するB細胞系の機能は、IgM産生が1歳頃、IgG産生は4~6歳頃、IgA産生は思春期に、それぞれ成人と同レベルになります。