成長期は、まだ小さな幼児期でも保育園や幼稚園で、社会性を確立し、その中で精神的にナイーブになったり、精神的に強くなったりする時期です。
またママの影響なので、特に女の子は学童期の時期からダイエットに興味を持ったり、思春期では見た目を気にするダイエットで、精神的に病んでしまうケースもあります。

成長期の社会的、精神的発育・発達を大人がしっかりと理解してサポートしてあげましょう。

幼児期

幼児期の精神発達は、1歳前後で自己意識が芽生え、何でも自分でやりたがるようになります。
食事を自分で食べたがるのもその表れの1つでしょう。

2歳頃から喜び、楽しみ、愛情、恐れ、怒りなど、情緒の分化が見られ、言語が発達して自己主張も増々強くなる時期です。
また2~4歳頃の特徴として第一次反抗期があります。

食事面では「好き嫌い」という食事行動が表れ、味の記憶や見た目など「好み」がはっきりとしてきます。
この時期に偏食や食欲不振などの問題を生じますが、無理なしつけは情緒を不安定にさせ、自律神経や内分泌機能に悪影響を与えるので、適切に対応する必要があります。

3歳頃になると集団の中で遊ぶことができるようになってきます。
子ども同士で同じテーブルを囲み、食事を楽しめるようになるでしょう。

5歳頃までは、かなり自己中心的で相手の立場に立つことはできませんが、相手の話を、だんだんと理解できるようになるため、社会性も出てくるようになります。

そして食習慣や生活習慣が確立されていくのも、この頃からです。
幼児期の精神機能、社会性、摂食行動、それぞれの発達を以下の表にまとめました。

幼児期の精神機能・社会性・摂食行動の発達

学童期

学童期の精神発達の特徴は、自我の発達、情緒表現の抑制、性心理の発達などがあげられます。

9~12歳頃に精神発達曲線の屈曲点があります。
わかりやすくいうと、快の情緒を表したり、怒りや嫉妬の感情が見られるようになるということです。
怒りの感情は幼児よりも激しくなり、嫉妬の対象は、幼児期では兄弟ですが、友だちに移り、持ち物や学業、運動能力などを自分自身と比較する傾向が見られます。

知的能力は、幼児期の自己中心的な理解力から、年齢が上がるにつれて、客観的になり、社会化された理解力へと発展していきます。

社会性の発達は、学童期後期頃から見られるようになり、仲間を通じた本格的な集団性を獲得し、集団のリーダーとしての役割をこなせるようになってきます。

記憶の発達は知能において重大ですが、年齢差が大きく、8歳頃までは聴覚による記憶、9歳以降は視覚による記憶が優れていきます。
単純な機械的記憶から理論性を持つ論理的記憶へと発達していくのです。

思考パターンは、低学年のうちは直感的ですが、次第に抽象化した理論や包括的な思考が可能になっていきます。
自我の発達に加えて、顕示性が高まり、自己主張や反抗が現れ、知的発達による思考内容の拡大で、推理、理論化した批判力、創造力、計算能力が加わり、問題解決能力が高まっていくでしょう。

性心理発達によって、自分と他人の心身を比較して不安を感じ、悩んでしまうケースもあります。

思春期

思春期は、自我意識の目覚め、社会性の強化、抽象思考の発達、異性愛の目覚めなどが見られ、子どもから大人への過渡期です。

思春期の心性の特徴は

  1. 依存性と自立性の同居
  2. 劣等感と自尊心の同居
  3. 過敏で傷つきやすい
  4. 友人希求
  5. 異性愛と性的欲求

が代表的です。

両親や大人に依存し、頼っていきたい気持ちも強い反面、自我の目覚めにより干渉されることを嫌って、自己主張が強くなる傾向があります。
また自己制御が難しい時期のため、反抗的な態度に出ることも多くなります。

また、性意識が目覚め、自己の身体、容姿、能力、生活について他人と比較し、精神的に不安になる傾向もある時期です。

友人とのつながりを強く求める気持ちは思春期が特に強く、人間関係では友人が非常に重要だと感じる傾向があります。
友人からの仲間はずれやいじめにあうことは深刻な問題です。
登校拒否、自殺、家庭内暴力、非行、精神的障害などに発展するケースもあります。

近年では、親の過干渉や過保護によって自我の確立が遅れています。
精神的発達に歪みが生じると、登校拒否、食行動の異常、人と違った行動(逸脱行動)などの人格障害が現われる場合もあります。

成長期全体を通して

近年、幼児期の「孤食」が増加傾向です。
朝食については1/4の子どもが孤食だという報告もあります。

「孤食」とは、子どもがひとりで、または子どもだけで食卓につくことを指します。
子どもは社会的、精神的発育・発達が未熟な上、自己中心的でもあるため、孤食だと「早食い」「遊び食べ」「よく噛まない」などの問題が改善されず肥満につながる懸念もあります。

また好き嫌いも激しいため、栄養が偏り、発育や発達に問題が生じる場合もあるのです。
幼児期は食事の楽しさを学ぶ時期でもあるため、家族が一緒に食卓を囲む工夫が必要です。
子どもの食べる意欲を育てるためにも、幼児のいる家庭ではそういう配慮が必要不可欠でしょう。

学童期や思春期は、心身状態や生活に依存と自立の両面を持ち合わせる時期で、これらが食生活に影響を及ぼすことも多い時期です。
また精神発達と性成熟との関係を考慮した食生活が重要な時期でもあります。

成長期の真っ最中でもあるため、身体育成に応じた体成分の維持と補給に対応した食物摂取も必要不可欠ですね。

この時期は生活の場が家庭と学校が中心です。
学校生活が知的な学習の場で、健康についての知識や技術の習得、人間関係、社会性を知る場でもあります。

小・中学生の学校給食は食生活のあり方を支配する重要な役割があり、子どもの健康は学校給食と家庭での食生活の調整も大切なことです。

この時期の精神発達は、食生活にも様々な影響を及ぼしています。
問題となる食事行動は精神発達を基盤にしたものが多く、情緒面、自我の発達が原因となって、偏食・過食・拒食などになるケースも見られます。

身体発育の程度や個人差により、子どもの不安を強め、不適切な食事行動を起こす場合もありますね。
子どもの自立が正しいものであれば問題ありませんが、食べ物の入手手段や、外食など、家庭以外の食事による問題、やせ願望による問題などがあげられます。

また、欠食、孤食、間食、夜食などが現代の学童期と思春期の食生活の問題として浮上してきています。
これらは子どもの健康に影響を及ぼし、肥満ややせの発生に起因する場合があります。

近年の子どもの食生活は集団レベルや平均値で見ると、栄養面に大きな問題はないように見えますが、個人レベルで見ると摂取食品の質や量、バランス面での問題点が多いといえるでしょう。