思春期は個々の成長・発達に応じた栄養ケアを行う必要があります。
食生活やライフスタイルの欧米化、運動不足、ストレスから生活習慣病が急増し、若年齢化も問題となっているのです。
そして思春期は「食習慣の自立期」でもあります。
この時期に生活習慣病のリスクを減らし、適切なエネルギーや栄養素の摂取と健康教育が必要です。
食生活の問題点
ある自治体が中学生・高校生を対象とした食生活に関するアンケート結果では、以下のような問題点が浮上してきました。
- 家庭で料理や片づけを手伝うことがない
- 朝食を食べない
- 家族そろって食事をしないので家族の団らんの場がない
- スナック菓子、インスタント食品、清涼飲料水を多く摂る
- 夕食をコンビニ弁当やファストフードですませる
また食に関する知識では、
- インスタント食品やスナック菓子などを多く摂るとビタミンやミネラルが不足すること
- 野菜が不足すると便秘になりやすく、ニキビもできやすい
などを知っている生徒は60%に過ぎず、食事の代りに菓子類を食すなど、食に関する意識や知識が低下している傾向が見られました。
食育基本法は、このような食に関する問題を改善するために制定され、将来の生活習慣病の予防や成長期の発育・発達、精神面や社会性の確立のためにも、食育は推進していかなければならない。
食育基本法
食育基本法は、このような食に関する問題を改善するために制定されました。
将来の生活習慣病の予防や成長期の発育・発達、精神面や社会性の確立のためにも、食育は推進していかなければならないのです。
食育基本法は
- 健全な食生活の習得
- 食に関する知識
- 食を選択する力を習得
- 心身の健康の増進
- 食に関する感謝の念と理解
- 食品の安全性について
- 伝統的食文化の伝承
- 地域における地産地消の活性化
などがある。
また厚生労働省が示す「健康づくりのための食生活指針」での思春期は「食習慣の自立期」を目標としています。
- 朝、昼、晩、いつもバランスの良い食事
- 進んでとろう、牛乳・乳製品
- 十分に食べて健康、野菜と果物
- 食べ過ぎ、偏食、ダイエットにはご用心
- 偏らない、加工食品、インスタント食品に
- 気を付けて、夜食の内容、病気のもと
- 楽しく食べよう、みんなで食事
- 気を配ろう、適切な運動、健康づくり
思春期に起こりやすい、栄養不足による疾患予防などの栄養ケアも大切ですが、その前段階である生活習慣の改善や、食に関する知識の教育が思春期の栄養ケアとして重要です。
栄養が偏ると学力にも影響が及ぶ
成長期の栄養不足は発育や発達だけでなく、思考力などの精神面や社会性にも関与してきます。
また栄養不足による学力の低下などが著しいと、国が素晴らしい食育を制定しても理解できる子どもは育たないとも考えられます。
母親の就業率が高くなった原因の1つに学歴社会になったこともあげられますね。
子どもの教育を第一に、教育費を稼ぐために母親が就労しているケースもありますが、肝心の子どもの成長・発達に必要な食生活を手作りではなく、インスタント食品や保育所、学校給食任せにしていては、進学についていけるだけの子どもの学力が育ちません。
思考力を育てるにはカラダの発育・発達、そして健康でなければいけないのです。
思春期は知能が発達してきていますが、経済的にはまだ自立しておらず、食生活も親に頼らなければいけません。
母親の就労が悪いと言うのではなく、子どもの成長のためにも一家団らんの機会を増やし、子どもが楽しいと感じる食生活も親が知っておく必要もあるのです。
現代は国をあげての素晴らしい食育基本法や食生活指針が存在しています。
成長期の子どもに必要な細かな栄養素やエネルギーを把握するのは、忙しい現代のママやパパたちには難しいかもしれませんが、伝統食を継承する意味でも、栄養バランスの観点から見ても、一汁三菜の和食は理想に近いといえます。
食育基本法は保育所や学校だけでなく、お子さんを持つ大人が大いに活用することによって、低栄養による諸問題や、生活習慣病の予防につながり、成長期のお子さんの正しい食習慣の確立にもつながるでしょう。