貧血とは、血液中の赤血球の数、またはヘモグロビン量が正常範囲よりも減少した状態をいいます。成人女性では、赤血球数380万個/mm3または、ヘモグロビン量12g/dL以下の状態をいいます。
思春期の貧血の原因
不規則な食生活やダイエットなどで、栄養素などの摂取が不十分な場合、貧血を招きやすくなりますが、潜在性の鉄欠乏性貧血は、自覚症状があまりないので、注意が必要です。
赤血球に含まれるヘモグロビンは、酸素の運搬を行っていますが、ヘモグロビンが減少してくると、体内の組織(細胞)でエネルギー生産に必要な酸素不足が起こります。
そして心臓は、それを補うために、鼓動が速くなり(頻脈)、息切れを起こします。
また脳にも酸素が十分送れないため、全身状態として、だるい、疲れやすい、月経前症状(不安感、落ち込みなど)が強くなり、月経不順や、ひどい場合は月経が来なくなります。
思春期の貧血の問題点
思春期の貧血の実態は、1993年ごろから、女子の貧血の増加が年々、続いています。
特に中学2年生から大学生までの女子は、正常者が90%に達していない、と推測されています。
思春期は、成長に伴う鉄の需要の増加が、供給に追いつかなくなる上に、月経による鉄の喪失が起こっています。
その背景には、ダイエット志向の高まりや、食生活の乱れから、食事から摂取しなければいけない鉄が十分に補われていない該当者が増えていると考えられています。
その一方で、1994年から、学校保健安全法の改正で、採血による検査が行われなくなった結果、学校現場での貧血への関心と、指導の機会が減少しているのではないか、という指摘も出てきています。
貧血の早期発見には、ヘモグロビンの測定が必要ですが、採血を行わずに、ヘモグロビンの測定ができる機器が、日本でも導入されることが期待されています。
貧血の治療と食事
貧血の治療には、食事療法と薬物療法がありますが、食事内容が改善されないと、貧血の根本的な改善は難しくなります。
赤血球の寿命は約120日間なので、体内では毎日生産が繰り返されています。
専門的なことになりますが、赤血球が体内で造られる課程は、赤芽球が骨髄でつくられ、約9日で成熟赤血球になり、その時にDNAがつくら、ヘモグロビンに合成されます。
こうした段階で、タンパク質をはじめとした、葉酸、ビタミンB12、鉄、ビタミンB6、銅が必要です。
また、鉄の吸収にはビタミンCが必要です。
食事ではこれらの栄養素を十分に摂取することが大切なのです。
赤血球は老化すると壊れ、そのうち体内で不要となった鉄は排泄されるので、毎日その補給が必要です。