思春期に学校や家庭、友人関係のストレスなどが積み重なって、異常な食行動に走る神経性食欲不振症のことを「思春期やせ症」といいます。

原因と問題点

正常体重の最低限、またはそれ以上を維持することを拒否し、太ることへの強い恐怖感や、自分の体重や体型の感じ方の障害、そして無月経になるのが特徴です。
食事を拒否する場合と、やけ食いをした後に嘔吐したり、下剤を飲むなどして、むりやり排出する場合があります。
また、栄養失調状態にもかかわらず、過活動になることもあります。
例)絶食してマラソンをするなど

成長期に体重が減少することにより、成長障害やホルモン異常、心機能障害、精神的不安定の症状、そして脳の委縮などをきたします。
また、低血糖による意識障害では、命に関わる危険もあります。
そしてその後遺症として、骨粗しょう症、不妊症、生活習慣病などが起こる可能性があり、将来の健康にも大きく影響します。

厚生労働科学研究の調査(2009年度)では、思春期やせ症の発生頻度は、「不健康やせ」という項目で、中学3年生で19.5%、高校3年生で21.5%、中学1年生から高校3年生までの思春期やせ症の発生頻度は1.01%となっています。

また2002年度の調査結果では、中学生で「不健康やせ」であった場合、高校生になっても「不健康やせ」が続いており、病状が悪化する前に、診断治療することが必要です。

軽度の段階でも治療できますが、重症化してしまうと1年以上の入院が余儀なくされ、死亡率も6~10%とされています。

思春期やせ症の治療

本人は、比較的苦痛を感じていることが少なく、やせることが良いと思っているケースも多いため、進んで医療機関に行くことは、ほとんどありません。
学校や家庭など、周りの大人が気づいてあげることで、早期発見につながり、治療を行うように誘導していきましょう。

思春期やせ症の診断基準は以下の通りです。

  1. 頑固な拒食、減食が見られる
  2. 思春期の発育スパート気に身体・精神疾患がなく、体重の増加停滞や減少がみられる
  3. 次のうち2つ以上が該当する場合
    • 体重にこだわる
    • カロリーの摂取にこだわる
    • ゆがんだ身体像
    • 肥満恐怖
    • 自己誘発嘔吐(無理やり嘔吐する行為)
    • 過度の運動(絶食してマラソンをするなど)
    • 下剤の乱用

少しでも異常が見られる場合は、症状が長引かないよう、周りの大人が管理してあげてください。
症状が長引くと、完治させるのが難しく、家族の支援も受けながら、治療はゆっくりと時間をかけ、心の悩みをときほぐし、十分な栄養がとれるように導いてあげましょう。
そして何より子どもが納得し、自発的に治療に取り組めるのが望ましい環境です。