感染症は、体内に病原体が入り、その後、病原体が増殖して、カラダに何らかの症状が現れた状態をいいます。
感染力が強いので、集団発生が起こりやすく、ときには重症になる感染症もあります。
感染経路は、感染している人の咳、くしゃみの飛沫(ひまつ)を吸いこむなど、汚染されたものを介して伝わります。

インフルエンザの症状

突然、高熱が出て、3~4日、続きます。
全身症状を伴い、せきなどの呼吸器症状がありますが、約1週間の経過で軽快してきます。
全身症状とは、カラダ全体に症状がでるということで、インフルエンザの場合は、全体に倦怠感を伴います。
肺炎、中耳炎、熱性けいれん、脳症などを合併することがあるので、注意が必要です。

麻しんの症状

高熱、咳、鼻汁、結膜充血、目やにが出る、そして一時的に熱が下がるころに、小斑点が頬の粘膜に現れますが、感染力はこの熱が下がるころが最も強いと考えられています。
しかし、一時的に熱が下がっても、再び高くなり、今度は発疹が出てきます。
全経過、約7日で熱が下がり、発疹が色素沈着を残して消えていきます。
口内に発疹がある場合は、口の粘膜に刺激の少ない食べ物を選んであげましょう。
肺炎、中耳炎、脳炎などを併発する場合があります。

RSウイルス感染症

発熱、鼻汁、せきなどを伴い、軽症の風邪のような症状から重症の肺炎までありますが、乳幼児、早産児、先天性心疾患などがある場合、重症化しやすくなっています。

腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)

感染経路はおもに飲食物を介した経口感染で、汚染された飲食物や患者の糞便に含まれている大腸菌が、直接または間接的に口に入り、感染します。
症状は、激しい腹痛、何度も出る水様の下痢、血便などで、熱はそれほど出ません。
溶血性尿毒症症候群、脳症(3歳以下に多い)を発症することがある。
予防は、食品および調理器具の十分な加熱とよく手洗いをすることです。

ノロウイルス、ロタウイルス胃腸炎

ノロウイルスは、おもに秋から年末にかけて、ロタウイルスはおもに1月から4月にかけて流行します。
非常に感染力が強いので、100個以下の少ないウイルスでも感染し、発病するのです。
感染経路は、飲み物、食べ物からだけではなく、患者の吐しゃ物や糞便からも感染します。
また空気中にただよっているウイルスが鼻や口から入って感染する場合もあります。

潜伏期間は、12~72時間で、激しい嘔吐、下痢(ロタウイルスの場合は白色の水様性便が特徴です)、腹痛、発熱の症状が出ます。
一般に、ノロウイルスで3日以内、ロタウイルスで3~8日で回復するでしょう。
症状がなくなってきても10日程度は糞便中にウイルスが排泄されるので、流行時は、注意が必要です。
普通の消毒では不十分なので、85~90度で90秒以上の加熱または次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を行ってください。

感染症を防ぐための対応

保育所や学校での感染症の流行を阻止するため、感染症の感染力、感染経路、潜伏期間、症状、合併症、予防法、治療法などについて、十分に理解しておきましょう。

  1. 感染源対策
    感染源の除去を行います。
    必要に応じて、患者の個別保育を行います。
  2. 感染経路対策
    患者が出た場合、手洗い、手指、その他の消毒、使い捨てマスク、使い捨て手袋の使用で、次への感染を防ぎましょう。
    感染した子どもの感染力がなくなるまで、登園(登校)を避けるようにしましょう。
  3. 免疫をつける
    ワクチンなどの予防接種をしておきましょう。
    一時的に免疫成分を投与しておきます。

 

上記は保育所や幼稚園、学校での対応ですが、ご家庭での対応も、おおむね同様です。
ご家庭ではなるべく別室で看護し、ご家族への感染を防ぐため、食器、タオル、衣類などの消毒を徹底させましょう。

予防としては、日頃の外出後の手洗い、うがい、排せつ物の管理など衛生面での管理を徹底し、規則正しい生活、適切な食生活、十分な休養が大切です。