以前は、食物アレルギーの治療として、その原因食品を取り除くことが、唯一の治療法でしたが、近年、アレルギーの原因が少しずつ、解明されてきており、各種の積極的な治療が行われるようになりました。

一方で、養育者の食物アレルギーに対する過剰な反応によって、原因食品と思われる食品を勝手に除去してしまうという問題点も出てきています。

食物アレルギーの治療

医師による正しい診断のもと、必要最小限の食物を除去することです。
必要最小限とは、

  1. 食べると症状が引き起こされる食品だけを除去する。
  2. 原因食品でも症状が引き起こされない「食べられる範囲」まで食べることができる

ということになります。

予防的な治療

食物アレルギーの予防的な治療としては、

  1. 原因アレルゲンの回避や除去(除去する程度は症状によります)
  2. 抗アレルギー薬の投与
  3. 免疫療法

などがあります。

母乳のみを与えている乳児が、アトピー性皮膚炎を起こしているときや、外用薬のみで、治りにくいときは、食物アレルギーを疑い、医療機関で検査を受けてください。
ある食品に反応を示した場合は、母親の食事からその食品を除去すると、症状がよくなる場合があります。
医師による正しい診断によって早期発見、早期治療が最も有効です。

離乳期での食物アレルギー

離乳期では、食物アレルギーのおもな原因となるタンパク質食品を多く与えないよう、注意し、母乳やアレルギー用の特殊ミルクを飲ませるようしましょう。
食事療法は、自己流で行わず、必ず医師の指示に従うようにしてください。

厚生労働省の調査によると、食品を除去している幼児のうち、医療機関などの指導を受けず、自主的に除去している親は40%にものぼるといわれています。
特に問題となるのは、食物の除去を行ったときに、代わりの食べ物を用いた親が23%しかおらず、これは成長阻害につながってしまいます。

栄養不足を引き起こさないためにも、除去する食品の適応だけではなく、代替食の用い方や、栄養バランスの取り方を十分に理解することが大切です。