歯が健康でないと、食事するときに不便ですし、必要な栄養を取り込むことができなくなります。
そのため、虫歯にならないように細心の注意が必要です。
幼児期は、永久歯の形成、咀しゃく機能を完成させる大事な時期です。
歯の健康を保つことは、その後の人生でも重要な意味を持ちます。

虫歯の出現率

虫歯は、間食の不適正、歯みがきの不適切などから発生しますが、統計によると、砂糖の消費量と虫歯の罹患率とのあいだに、相関関係がみられます。
日本では、戦時中、砂糖の消費が厳しく制限された際、幼児・学童の虫歯の罹患率は低下しました。
しかし、戦後、食料事情が良くなり、砂糖の消費が増加すると、再び増加していきました。
現在は、啓蒙や人工甘味料の使用により減少してきています。

虫歯の形成機序

口の中に常在するストレプトコッカス・ミュータンス菌という連鎖球菌が、ショ糖などの糖と出合い、不溶性で粘着性のあるデキストランという多糖類をつくります。
これが歯の表面に付着して、その上に他の細菌や食べ物の残りカスが付着して、目に見える歯垢(プラーク)となり、その中に酸ができます。
歯垢のpHが5.4以下になると、エナメル質を侵して虫歯になると考えられていますが、詳細なメカニズムは今のところまだ解明されていません。

虫歯の予防

虫歯を防ぐには、口の中にすむミュータンス菌を繁殖しにくくすることです。
つまり、ミュータンス菌の栄養となる砂糖と食べ物の残りカスを遠ざけることが大切です。
そのためには甘い間食を少なくし、食後に口をゆすぐ、歯みがきを徹底し、強い歯質形成のための正しい栄養を補うことです。
虫歯発生の3大原因は下図の通りです。

虫歯発生の3大原因

虫歯になったら、手遅れにならないよう、早めに受診しましょう。
症状が軽いうちに受診すると、痛みがなく治療を済ませることができます。
乳歯の場合でも、その後の永久歯の歯列に重要な影響を及ぼすので、1本も失うことなく、学童期につなげましょう。