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コーチングの意味について触れてみる
漠然とした質問ですが、多くの企業が目指す姿とは何でしょう?
多くの場合、事業の成長の裏には、会社が抱える課題を一つ一つ解決し目標を達成しようとする社員の姿があり、そこには必ず社員ひとりひとりの成長があります。
つまり、「社員の成長なくして事業の成長はない」と経営者は考えます。
では、どうやって社員の持つ個の才能を解き放ち自走できる社員を生み出す企業になれるのでしょう?
そこで登場するのが、最近至るところで耳にする「コーチング」です。
有名なものとしては、コルブの経験学習モデル(The Lewinian Experiential Learning Model)があります。
ここでは、一般的な(通常は上司が部下に対して行う)コーチングの手法に触れながら、自分コーチング(=セルフコーチング)を通して女性としての自分磨きの手法(一般的に世間で言われる「できる女?」)をご紹介します。
学びの法則
「学ぶ」とは何でしょうか?
ここで、自分の過去を振り返ってみて、自分を大きく成長させたと思った出来事を思い出してみてください。
例えば、仕事であれば、大事なプロジェクトを最後まであきらめずやり通したとか、去年は3日かかった仕事を今年は(工夫した結果)1日で仕上げたとか、また、プライベートであれば、ダメな彼氏と笑って別れたとか…。
回想( ^ω^)・・・
- 最後まであきらめずやり通した
- 去年は3日かかった仕事を今年は1日で仕上げた
- ダメな彼氏と笑って別れた
何か気づきませんか?そうです、思い出した数々の出来事の語尾には、「経験」という文字を付け足すことができるはずです。
- 最後まであきらめずやり通した(経験)
- 去年は3日かかった仕事を今年は1日で仕上げた(経験)
- ダメな彼氏と笑って別れた(経験)
ある統計によると、成功体験の70%は「直接経験」からと言われています。
その次に、他者の観察であったり、先輩や同僚からのアドバイス、つまり「間接経験」からの成功体験が20%、最後に参考書を読んだり研修から学んだという成功体験が10%と続きます。
したがって、自分を成長させた多くの出来事は経験から学ぶということがわかります。
そこで、一般的なコーチングに欠かせない経験学習サイクルをご紹介します。
経験学習サイクル
経験学習サイクルとは、コルブの経験学習モデルに基づいた、経験と学習を繰り返し社員(自分)の成長を促す連鎖モデルをいいます。
仕組みとしては、まず、
- 具体的な経験(何かを経験をする)
- 内省的な観察(経験したことを振り返る)
- 抽象的な概念化(教訓を引き出す)
- 積極的な実験(次に生かす)
といった具合に経験学習サイクルをぐるぐると繰り返します。
この過程で特に重要となるのが2⇒3における深い内省で、学びを加速させる過程です。
- 最後まであきらめずやり通した(経験)
⇒教訓: 計画立ててコツコツやれば必ず成功する - 去年は3日かかった仕事を今年は1日で仕上げた(経験)
⇒教訓: 業務フローを改善(システム化)すれば効率化できる - ダメな彼氏と笑って別れた(経験)
⇒教訓: ダメだと思ったとき打ち切ることも大事
つまり、具体的な経験から、成功例や失敗例を振り返り、なぜ成功したか、なぜ失敗したかを深く内省し、そこから教訓を導きだし、次に生かすということです。
一般的に「コーチング」を採用する企業においては、組織ぐるみで取り組みます。
3時間程度のコーチング研修を終えた上司が部下に対して何日かに一度、30分程度のマンツーマンミーティングを行い、上司が部下に内省を促す質問をし、部下の内省を確認します。
しかし、ここで重要なのが、上司の話す技術(質問力)であったり、上司との人間関係であったり、タイミングであったり、必ずしも上手くコーチングが成功する環境ではないのも事実です。
上司は、コーチングの専門家ではないからです。
そこで、自分コーチングの出番です!
自分コーチング
自分コーチングとは、こういった経験学習サイクルを通して、積極的に物事に(仕事に)取り組み、内省(=振り返り)を繰り返すことによって、自分自身で教訓を引き出そうとする手法です。
そして、ここで重要となることは、内省を繰り返す習慣をつけるということです。
内省するためには、何かを経験する度に自問自答し、教訓を引き出すことが重要です。
自問自答をする習慣と自問自答力が問われます。
おススメのテーマ
- 目標を確認しながら、仕事の進捗状況を確認する
- 直近1週間の仕事を振り返る
- 今、悩んでいること
- 他人を知るための雑談
- 課題を確認し、成長するための自問自答をする
- 中長期的なキャリアを描く
自分コーチングをするための心構え
- 自分自身が成長するための時間を作る
⇒ 自分が成長するためにはどうしたらよいか考える - 振り返り(内省)を促進するための時間を作る
⇒ 上司、部下、同僚の話をよく聴き、観察し、内省を促す自問をする
⇒ 上司を上手く使い、たくさん質問してもらう - 他人を理解するための時間を作る
⇒ 他人の興味関心、強み、価値観などを理解する
⇒ 自ら積極的に話し、気づきを増やす - 他人を支援するための時間を作る
⇒ 他人が必要としている支援を自ら申し出る
上司、部下、仕事仲間との関係
最近、上司や部下、そして仕事仲間と上手く付き合うことが出来ていますか?
誠実に向き合うためには、観察力、傾聴力、承認力を高める必要があります。
観察力とは
観察力とは「変化」に気づくことです。
上司や部下、同僚の服装、髪型、表情、気持ち、言動など変化は様々です。
周りを観察してみましょう。
傾聴力とは
傾向力とは、「しっかり聴いていることが相手に伝わる」ことです。
例えば、部下や同僚があなたに話しかけてきた時、パソコンを見ながら(つまり、相手の眼を見ずに)話しを聴いていたりしませんか?
話しをしている側は、どんなふうに感じるでしょう?
眼を見て聴く、うなずく、オウム返し(相手の言葉を時折繰り返す)をするなど、傾聴力を高めてみましょう。
きっと、相手はあなたに対し好感を持つはずです。
傾聴することはお互いの信頼関係の構築に不可欠なスキルと言えるでしょう。
承認力とは
承認力とは「相手をよく観察して変化に気づき、それを伝えてあげる」ことです。
例えば、
- 「おはよう」、「お疲れさま」の挨拶をする
- ねぎらう
- 「ありがとう」など感謝の言葉
- 約束を守る
- メールや質問にすぐ答える
- 「○○さん」と相手を名前で呼ぶ
- 仕事を任せる
- アドバイスを請う
など、相手の存在を承認することです。
「気にかけている」ことを伝えてあげましょう。
また、伝える際には「I(アイ)メッセージ」が有効と言われています。
では、アイ・メッセージとは、何でしょう?
- (私も)頑張ろうと思った
- (私は)がっかりしました
- (私は)残念です
- (私は)感謝しています
- (私は)勉強になりました
- (私は)感心しました
- (私は)安心しました
有名な話ですが、2001年5月27日の大相撲春場所千秋楽で、当時横綱の貴乃花が怪我を乗り越え優勝を飾った際、授与式で小泉純一郎元内閣総理大臣が「痛みに耐えてよく頑張った、感動した、おめでとう!」と言った場面は、メディアでも大きく取り上げられ、多くの人に感動をもたらしました。
今日でも忘れられない名言として残っています。
この「(私は)感動した!」がアイ・メッセージです。
それに対して「You(ユー)メッセージ」というものがあります。
ユー・メッセージには以下のようなものが該当します。
- (あなたは)よく頑張っている
- (あなたは)いつもそうだ
- (あなたは)よくわかっていない
- (あなたは)いい人だ
- (あなたは)もっと勉強したほうがいい
- (あなたは)仕事ができる人ですね
「ユー・メッセージ」は、あなたの主観であって、相手の主観ではありません。
もし話している相手が、「自分は仕事ができない」と思っている人の場合、他人から「(あなたは)仕事ができる」と言われても何となく受け入れ難い、納得できないものです。
伝えたい人の気持ちや意図が伝わりづらいと言えます。
言いたいことを伝えたいはずなのに、かえって相手の気持ちを動揺させたりしてしまうのです。
したがって、ユー・メッセージをできるだけ避け、アイ・メッセージで語り掛けるほうが無難といえるでしょう。
自問自答が大事な理由
自分に対し自問を投げかけ、自分で答えていくことで
- 自分にとっての答えを考える(言語化する)
- 言語化することで自分の考えが整理される(はっきりさせる)
- 思考が整理され、はっきりさせることで「気づき」が生まれ、次のアクションが明確になります。
考えていることを口に出し、考えを引き出しながら、自分で言ったことを自覚することが大事です。
思考を広げる自問自答テクニック
深く掘り下げるような自問と、横に広げるような自問をすることで内省を深めていきます。
深く掘り下げるような自問には「具体的に?」「要するに?」といった自問があります。
また、横に思考を広げる自問には「他には?」といった自問があります。
他にも以下のような自問ワードが挙げられます。
- 「具体的にはどういうこと?」
- 「他には何がある?」
- 「要するにどういうこと?」
- 「強いて言えば…?」
- 「あえて言うと…?」
- 「一般的に言うと…?」
効果的な成果を上げるために
では、自分コーチングをする際にどうしたらより効果を上げられるのでしょうか?
どんな自問をしたらよいのでしょうか?
気を付けることは、思考を停止させてしまうような自問です。
思考を停止させる言葉とは、一般的なコーチングにおいて、「ビッグワード(思考停止ワード)」と呼ばれています。
では、ビッグワードとはいったい何でしょうか?
以下に例をあげてみます。
- がんばる...(がんばるとはどういうこと?)
- 積極的にやる...(積極的とはどういうこと?)
- コミュニケーション能力が大事...(コミュニケーション能力とは?)
- 臨機応変に対応する...(具体的にどういうこと?)
- それは無理ですね...(何が障壁なんだろう?)
- ○○を勉強します...(具体的にどうやって学ぶ?)
これでは具体性がなく、思考を縦に横に広げることができなくなってしまいますね。
ビッグワードで完結させてしまうと思考が停止してしまい、内省することができないので気をつけましょう。
他にも、前述したとおり、相手の話をよく聴く、観察する、変化に気づく(傾聴、承認)といったことも大事ですね。
自分コーチングを機能させるために
では、これまで学習したことを具体的にどう機能させるかを簡潔に説明します。
- 扱うテーマ(課題)と今日のゴールを決める
- 現在どういう状態か、具体的に自問する
- どうなったら良いか、理想像を自問する
- 現状と理想像とのギャップを明らかにする
- ギャップを縮めるためのアクションを決める
- 実際に行動を起こす
例えば自分の理想像を100パーセントとした場合、
「現在の自分は何パーセント?」
と問い掛けるのもいいでしょう。
答えが60パーセントであれば、それを70パーセントにするためにはどうしたらいいのか自問します。
これが内省の始まりです。
あとは、深掘りして教訓を引き出すだけです。
最後に
自分コーチングでは、何よりもまず理想を描くことが大事です。
そこに近づくための習慣付け(考える癖)が重要です。
悩むのではなく考えるのです。
積極的な体験と内省を繰り返し最高の自分を目指しましょう。